昨年12月に上棟した神戸市S邸が竣工しました。S邸は故・三澤康彦設計、命名は三澤文子『春風の家』に決まりました。
この住まいに来るとその名前の意味が空気感で伝わってくる気がします。そんな清々しい名前を私はとても気に入っています。
こちらが春風の家の外観です。木造一部コンクリート造の混構造2階建てです。特徴はなんといっても前面道路側の東面に屋上庭園があること。ただし、造園工事はお引越し完了後ということで、6月に入ってからを予定しています。コンクリートにアールを付けることでとても柔らかな印象を与えています。
今回の施工は、堺市のコアー建築工房さん。棟梁はベテランの田尻博信 棟梁。『男は背中で語る』とはこのこと。(上棟時の様子)
さて、今回住まい手Sさんは設計を依頼された当初より気密測定を希望されていました。水の葉設計社の中野弘嗣 さんにご協力いただき、測定を実施しています。断熱性能は、Ua値:0.37W/㎡・K、Q値:1.29 W/㎡・Kと申し分ありません。
測定結果はC値:1.0㎠/㎡と、とてもよい結果を得ることができました。これも丁寧に施工をしてくださった方々のお陰です。測定後はどこに隙間があるのかを追及する作業も行っています。
今回屋上庭園を気持ちよく見ることができるよう、幅3.3M、高さ2Mの木製建具(アイランドプロファイル)を使用しました。こちらの木製建具の召し合わせ部分や玄関ポストからの隙間が確認されています。このような測定後の分析もとても大切な作業の一つです。
今後造園工事を6月に行い、9月に竣工写真をカメラマンの畑拓さんへお願いしています。
10月頃にはその様子を皆さんへお伝えできると思います。
・・・10月まで?少し先が長く中の様子が気になりますね・・・私が完成の様子を先撮りしてきましたので少しだけご紹介させてもらいます。
『玄関・ポーチ』チークの板張りや漆塗りの敷台、御影石を組み合わせ、落ち着きある佇まいに仕上げています。
『階段』
段板にはエムズの定番、岩手県の栗を使用。廊下の奥には麻の暖簾を、これかの季節にぴったりです。
『トイレ』
お馴染みのITOIボールにアクセントとなるタイルを加えています。もう一つのトイレも漆塗りをふんだんに使用した素敵な空間でご紹介したいところですが・・・次回の報告に持ち越しです。
『リビング・ダイニング』
天井には杉の白太を選りよりすぐった材を張っています。目透かしをした材のため、見る角度や光の入り方によって様々な表情を楽しめます。
床板には北海道から仕入れた楡(ニレ)を使用。程よい堅さがとても気持ちよく、これから使い込む程にどんどん味を出していってくれることでしょう。
『家事室』
人工大理石と住まい手お気に入りのボーダータイル。とても素敵なタイルを選んでもらいました。
春風の家に携わっていただいた多くの方々、そして職人さんにはこの場を借りて感謝致します。これからは住まい手の手によって大切に育まれていくことと思います。
引き続き造園工事、竣工写真と残っていますので、次回の報告を楽しみにしていてください。
スタッフ 中根