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わせ

Ms ARCHITECTSエムズ建築設計事務所

エムズ日記BLOG

2023.06.23

土絵と本の家 ~京都市I邸引き渡し~

暗いほどに青い空。
西日が照り、滑らかな光沢ある漆喰壁に軒の直線の影が落ちています。
外観写真1Ms日記をご覧の皆様こんにちは。今週は中尾が担当です。連日Ms日記にも登場している京都市I邸が引き渡しを迎えました。今週の日記はI邸の工事について紹介いたします。

I邸の過去の記事はコチラから↓↓↓
18年ぶり!宮内建築にて、京都の家の架構の打ち合わせ。
久しぶりに開催!漆塗ワークショップ
全国から心強い助っ人!~京都市I邸建て方~
気密試験レポート

冒頭で使用した写真はまだ工事途中ですが、漆喰と影のコントラストがあまりにも美しいので、使用しました。漆喰壁っていいなぁと改めて・・・
とても品があります。

京都市I邸のコンセプトは図書室のある家というのがテーマで設計が進んでいました。というのも、住まい手さんは文学部教授、美術史専門で今年度で退官されることから、大学にある蔵書を移し図書室を造りたいというのが要望でした。
図書ホール土絵1階図書ホールの写真です。まず最初に目に飛び込んでくるのが、窓の上の絵。こちらは土絵となります。住まい手さんのお知り合いの画家「佐藤香さん」の作品です。土とボンドを使用して壁画を造る佐藤さんの作品は特徴的で、土が成す、凹凸のテクスチャーにオーラを感じます。

土絵のタイトルは「北で生きてきた」です。鳥のような生物が風を纏っています。実はまだ完成ではなく、佐藤さんが完成した家の雰囲気を見て、最終手直しが行われます。
土絵引き渡し後にお尋ねした時の写真ですが、住まい手さんがアメリカ合衆国のニューメキシコ州を旅した時に購入したラグ(先住民の手によるもの)をソファの上に置いています。これが佐藤さんの土絵といい相性で、民族的な不思議な空間となっています。階段下の空間で、天井高さも低いことから本を手に取り、籠りたい。そんな空間です。橘商店の「矢型名栗」もいつもと違った雰囲気です。
東側造園工事東庭の写真です。造園工事は小笠原庭園さんにお願いしています。佐藤さんの土絵からインスピレーションを受け、写真の奥には「版築」を造っていただきました。
版築作業様子版築の型枠は木の角材を組み上げた小笠原さん自慢の型枠です。3日間かけて、土を押し固め造っていただきました。
ピクチャーウィンドウから庭を望む東側はリビングに面しており、ピクチャーウィンドウからの東庭がとてもカッコよく仕上がりました。モミジが色づく秋の風景もとても楽しみです。
本も入ってきました!さて本棚には、徐々に本が入り始めています。家の中央が吹き抜けとなっており、吹き抜け全面に本が埋まります。本棚の全貌を紹介したいのですが、竣工写真までのお楽しみとさせてください!竣工撮影が9月の予定となり、本の配置もバッチリとこれから決めていきます。
外観写真今週で外構(造園工事)が完成となります。そんなI邸の家の名前は住まい手さんに決めていただき「土絵と本の家」になりました。京町屋の古き良き”和”な印象とは反対の可愛らしい名前に親しみを覚えます。

建築写真家の畑拓さんがどんな表情をファインダーに納めるのか、竣工撮影の日が本当に楽しみでなりません!

建物が無事に完成を迎えることができ、画家の佐藤さん、小笠原庭園の皆さん、そして宮内建築の大工皆さん。本当にありがとうございました!工事に携わることができ、私自身誇らしい気持ちで胸がいっぱいです!

中尾