今年も残りわずかになりましたね。
先日、9月に着工した四條畷市の家の基礎改修工事が完了したので、ご報告します。
詳細調査の様子はこちら⇒「四條畷市で調査を行いました」
清祓い式の様子はこちら⇒「四條畷市の家清祓い式を行いました」
こちらは解体中、床と大引き(床の下地材)と撤去したところです。
石場建て工法だったため、コンクリートの基礎はありません。
写真に見えている土台も、腐朽が進んでいたため、ほとんど全ての土台を新しくやりかえることになりました。
まずは既存柱の傾きを直していきます。
柱上部から重しを吊り、傾斜を確認しながら柱の根元をハンマーで叩いて垂直にします。
こちらの柱は、根元が腐っていたため、「金輪継ぎ(かなわつぎ)」という工法で根継ぎをしています。
間に栓を打つことで、新旧の材料が引き合って1本の柱の様に強くなります。
こちらは既存の柱に土台を差しこみ、「車知栓(しゃちせん)」という工法で継いでいます。
実は、元々車知栓で土台が組まれていた為、柱にホゾ穴が空いているのを利用して新規土台も同じく車知栓で継ぐことになりました。
木又工務店さんは「手刻み」を行う工務店です。
現場状況も考慮して、最適な継手・仕口を選択しています。
既存の柱に新規土台を取り付けて、土台の下端で柱をカットしています。
荷重がかかる柱は特注のコラム(鉄製柱)によって、新規土台は鋼製束によって支えられます。
こちらは新規の杉柱(150×150 八角)を設置しているところです。
木又工務店の木又誠次さんにより、杉の磨き丸太を加工していただきました。
「ちょうな」で粗削りをしてから、機械にて仕上げていきます。
すると、節のない綺麗な八角柱が出来上がりました!
柱に埋め込んだDボルト金物は、基礎に埋め込まれて柱と基礎を緊結します。
アンカーボルトやホールダウン金物(土台や柱を基礎と繋ぐ金物)は基礎を打つ前に土台に固定しておきます。
その後、鉄筋組みを行います。
大黒柱の下にある既存の礎石(そせき)は撤去が難しい為、基礎に埋め込むことになりました。
基礎の一体性を損なわない様に周囲を鉄筋で囲います。
鉄筋の量にお施主さんもびっくり!です。
こちらは配筋の確認を行う木又さん。
木又さんは大工仕事だけでなく、現場管理、設計、経営など多岐の仕事をこなします。
若手大工の育成にも力を注いでおり、四條畷市の家では7年間育てた若手の大工さんに棟梁を任せ、木又さんは管理者として現場を統括しています。
配筋検査の後、ベースコンクリートを打設しました。
こちらは土台を上から見たところです。
土台の右側のみ型枠との隙間が広く空いているのがわかるでしょうか。
土台を設置した状態で基礎を打つ場合は、土台がコンクリートを流す隙間を塞いでしまいます。
そこで、巾15cmの基礎を片側に5cm広げて、巾20cmの基礎とし、コンクリートを流し込む隙間を確保しています。
立ち上がりコンクリートを打設して、基礎工事は完了です。
大黒柱の下部分も、綺麗に打ちあがりました。
既存柱を利用する場合、新築のように土台を設置してから上に柱をのせるという工程がとれないため、このように柱⇒土台⇒基礎という順番で施工していきます。
曳家(ひきや)などに比べて費用をかけずに基礎をしっかり改修できるので、Msではお馴染みの工法です。
柱の下(柱脚)をカットするので、これを「柱脚カット基礎改修工法」と名付けました。
この工法は木又工務店さんにとっては初めての施工でしたが、難なくこなしていただきました。
基礎改修工事が完了し、今後の工事について木又さんと三澤が打ち合わせを行っているところです。
2階の上棟を間近に控えており、今後も目が離せません。
Msスタッフ 酒谷明日香