古江台の家(RC住宅改修)完成しました! (大規模リフォーム)
新緑の映える季節。Ms事務所の程近くにて行っておりました改修工事物件が完成しました。
閑静 な住宅街の中に、木々に囲われた軒の深い端正な住宅が建っています。
この住宅、鉄筋コンクリート造2階建てで築45年経っていますが、完成した姿は新築そのもの。近所の方々は新しい家ができたと思い込んでいます。
改修前の写真です。150坪の敷地に約50坪の住宅が建っていました。シンプルな形でしたので、構造体はそのまま利用しています。断熱改修を行った上で、内装・外装は全て新しくしました。既存建物は屋根の下にのみ断熱材が入っていました。
今回の改修では屋根、外壁のコンクリート躯体を断熱材で覆っています。Q値も次世代省エネクラスまで上げることができました。
解体中の様子です。既存の内装は床・壁・天井を全て撤去しました。プラン上必要な窓や出入口は構造を確認した上で、既存の壁に開口を開けました。
コンクリート相手の仕事はかなりの手間がかかります。大工さん3~4名が常に現場で作業をしていましたが、約1ヶ月は解体工事にかかりました。
解体後、コンクリート躯体のチェックを行い、補強が必要と思われる部分には鉄筋コンクリートの柱を入れています。
壁には既存躯体の上から厚さ50㎜の断熱材を貼っています。
屋根の施工状況です。既存のコンクリート屋根の上に木造の屋根を乗せました。
軒の出も1M→1・5Mと大きく出しています。垂木の間には断熱材フェノバボードを入れ、さらに遮熱シートも入れています。
もちろん屋根通気を設けて、熱い空気を棟から抜くようにしています。屋根の断熱はこれからの夏を考えると必須です。
敷地の南側はかなり広い庭のスペースがあります。今回、造園工事は神戸の花康さんに施工していただきました。家の正面に立つのはヤマモミジです。白く仕上げた外壁に緑が映えます。
リビングダイニングの南には既存の庇を利用して大理石貼りのサンルームを増築しました。南側は全面開口とし、庭に向かって大きく広がるプランとなっています。
床はクルミのフローリング、壁は珪藻土で仕上げています。改修前に比べると、格段に明るい空間となっています。
ダイニングキッチンの東側には元々壁であった部分に新たに開口部を設けました。東の光が差し込みます。窓の先に見えるのは隣家の緑です。きれいに手入れされたお庭を借景として楽しむことができます。
キッチンの横の窓も腰壁部分を撤去して、掃き出し窓に変更しました。窓の外にはデッキがあり、キッチンを明るくすると共に、使い勝手をよりよくしています。
キッチンはタモの板に人大天板を乗せた、Msおなじみの大工施工のキッチンです。
シンクのあるアイランドカウンターは2.2M×1.1Mと広々と使える大きさです。ダイニング側にキッチンチェアを置いて、簡単な食事をすることもできます。吊戸棚や建具などは全てタモ材で造作しています。
カウンター下は引き出し収納となっています。キッチンの形状は住まい手さんも悩まれていましたが、食器などの収納も十分に確保したこのキッチンには大変ご満足いただきました。
階段は力作です。タモの格子で階段板を受けています。階段板はクリ材です。
2階の窓からの光が階段を通して下りてきます。
1階の南西には和室を設けています。竿縁天井、ジュラク塗壁などで仕上げた本格的な和室です。造作材には吉野の赤杉。もちろん節は一つもありません。すばらしくきれいです。床の間もシオジ、クリ、梁瀬杉など上質な木をふんだんに使用しています。
南の窓の前には月見台のようなデッキを設置してあり、和室からも庭の眺めを楽しめます。
南の庭の前にデッキを作りました。デッキ材 はセランカンバツという非常に強い木材です。価格は高めですが、大きなデッキを作る場合は後々のメンテナンスを考えておく必要があります。初期のコストがかかっても、耐久性の高い木材を使うことをお勧めします。
目の前に植えた植栽がデッキに木陰を落とします。街の中にいながら木々に囲われた心地よい空間です。
住まい手さんからも「改修でこんなに良い家になるなんて凄いですね」と嬉しいお言葉をいただきました。在るものを利用し、より良い空間を作り出す。これからの時代、上質な改修設計は設計者の命題となります。