非常勤 & リモートワークの村上です。11月も下旬になりスーパーにはお正月用品がちらほら並ぶ時期になりました。今年を気分よく締めくくることができるように、日々活動していこうと思います。
Msでは築5年と10年の節目に住まいのメンテナンス点検を行っています。点検結果を元に適切なメンテナンスを行うことで、より安心して暮らしていただくことができ、木の家にも健康で長生きしてもらうことができます。
点検では、内部仕上げの劣化、建具等の不具合、設備の交換時期の目安の確認、外部仕上げの劣化、外構の劣化を確認します。加えて長期優良住宅認定を受けている場合は床下点検が必須になっていますが、認定を受けていなくても、床下点検をおすすめしています。また、同時に住まいのヒアリングを行い、住まい手が気がついた不具合や、修繕、改善したい箇所なども確認していきます。
今回は10月下旬、豊中市に堀田さんと2人で長期優良住宅の10年点検に行ってきました。この住宅は三澤康彦さんの設計で担当は平賀さんでした。点検にうかがう前には建物の概要と図面をよんで、頭の中で建物をイメージしてから向かいます。今回のM邸にもわくわくしながらご訪問させていただきました。
過去のM邸の日記
①材料検査
②木配り
③上棟
④現場状況
⑤内部造作
⑥竣工
M邸については平賀さんが丁寧にMs日記に残してくださったので、竣工までの流れはもちろんのこと、住まい手のMさんと康彦さんの木材に対する想いがよくわかります。平賀さんありがとうございます!
現在のM邸正面の姿です。「これからの経年変化が今から楽しみです。」と竣工時の日記に書かれていた無塗装で仕上げた桧の格子。深みを増して良い色に変化しています。小さかった木はここまで大きくなりました。
玄関を入って正面にある、少し高さを控えた窓。この先に植えてあるモミジは、訪問した日は紅葉前でまだ緑でした。1ヵ月経過して、今頃は色づいているでしょうか。平賀さんが「キャンバスのような」と表現した開口部。1年を通して季節感を見せてくれています。
Msでは頻繁に使用する床材ではありませんが、色目の濃いものがお好みの奥さんのご要望で決まったチークのフローリング。Mさんいわく、家族が床でゴロゴロする場所は、脂が乗って艶が出てきたそうです。店舗の厨房のようなイメージでつくられたキッチンも奥さんのご要望で、チークとステンレスの組み合わせがシャープな印象です。そこに統一感のあるキッチン用品がまとめられていて、堀田さんと2人で「いいですねー!」を連発しました。
そして、特筆すべき2階の書斎へ。この写真は片側が壁ですが、通路の両側につくられた天井まで届く本棚におさまる書籍は圧巻です。なかでも中国関係の分野が多く、ご専門は中国の歴史とのこと。
「きっかけは三国志ですか?」とお聞きすると「映画でカンフーです」
「ええっカンフー?ブルースリーですか?」
「少林寺です」
「少林寺!足の動きを繰り返すことで石の床がすり減っているという逸話がある…」
「そうです」
好きだった歴史と中国が合わさって進路を決められたMさん。サタデーナイトフィーバーが進路を変えるきっかけになった私は「わかるわかるわかる」と非常に心が揺さぶられました笑。
ニレでできた階段で1階に降りると、目の前にご実家と共有する東庭が広がります。リビングには雰囲気にぴったり合うアイロン台が置いてあり、お庭の景色を眺めながらアイロンかけをされているのでしょうか。窓の右上に見える枝葉は「コナラ」です。M邸は「ミモザのいえ」の別称で作品紹介をされていますが、残念ながらミモザは枯れてしまったようです。その後に植えられたのがこのコナラで「コナラのいえになってしまいました」とMさん。ご実家のお庭も大部分を畑にされて有機農業を実践されているとのこと。お庭もそのときどきの好みに応じて変化させていくと、義務感ではなく楽しみながら手入れができて理想的だと思いました。
当日は、施工をしてくださったコアー建築工房の大谷さんにメンテナンス箇所をご確認いただきました。事前にお知らせをもらっていたハニカムブラインドのコード取り換えは堀田さんが行って、この日に修繕できなかった部分は後日コアーさんにより直していただくことになり10年点検を完了しました。Mさんが倉庫で選んだアサメラの天板でつくったダイニングテーブルも当初より濃い色になり濃淡が鮮明になっています。経年変化を楽しめるのは木の家ならではですね。
Mさんどうもありがとうございました。今回のMs日記もアーカイブとして追加します。これからもお気づきのことがありましたらお気軽にご連絡ください。引き続きどうぞよろしくお願いいたします!
村上洋子