「雑木林の家」の造園工事は埼玉県大里郡の中央園芸さんにお願いしています。住まい手自身が是非とも「雑木林を造ってほしい。」とお願いして、引き受けて頂きました。今回、この中央園芸さんとの出会いで、大切な多くのことを学ぶことができました。
このように高低差のある敷地に、雑木林の小道ができました。山の中に入っていくような小道。住まい手は、この中で、草木を観察したりツルを取り除いたりと、気が付けば2時間ほども時が流れていくとのこと。草木の好きな住まい手には至福の時間とのことです。
庭づくりは、住まい手が新しい家に入居されてからも続いています。写真左手が、中央園芸代表の押田大助さん、右手が庭師の濱田さんです。彼らの庭づくりの基本は「土中環境をしっかりと整備する。」ことで、「地中に空気と水が滞ることなく動き、樹木がしっかり根を張ることができる。」こと。「アスファルトやコンクリートで覆われた地面では空気と水が滞り、水がぬけない。」というのです。
道路からガレージのアプローチ。いつもは土間コンクリートの上に左官仕上げで造るところ、今回は上の写真が仕上げ状態です。砕石の上に、枯葉や木片などをブレンドしてアスファルトに混ぜ込み、それを敷いて転圧したものです。これもまるで山道のよう!写真のようにホースで水まきした水は、どんどん中に浸透していきます。
玄関のアプローチも現在進行中です。ソヨゴやヒイラギナンテンなどでポーチを包んでいきます。再び梅雨のようなお天気が続いたのが大助かり、2度目の梅雨明け(?)の前にと、急ピッチで作庭が続きます。
作業が終わるころ、住まい手さんから、「押田さんは『樹』、三澤さんは『木』、2人に出会えて本当によかった。」と、この庭の中で言って頂けました。何よりも嬉しい言葉に涙が出そうでした。建築の仕事は、このように素晴らしい出会いがあり、出会いを大切に育んでいける仕事と思っています。雑木林の家の「完全なる完成」にむけて、まだまだ、通い続けます!
(三澤文子)