こんにちは、今週のエムズ日記は堀田が担当します。
完成した直後のすまいは問題なくどこもきれいに使えるものですが、5年、10年、20年と暮らしていく中での「メンテナンスのしやすさ」を考慮して設計すること。
これがメンテナンスの仕事を最近やらせていただく中で感じることです。
引渡しから5年を迎えたO邸へメンテナンスに伺い、いつもお世話になっている岡本建具店の平尾さんに建具の修繕を行っていただきました。
今回修繕が必要になった建具は縦格子が入った引違いの木製建具です。
縦格子の一部が反りをおこし、建具どうしが擦れて開きにくくなったというもの。
どのように「格子の反り」をどう直せばいいのかなと平尾さんに来ていただく前に思っておりましたが、平尾さんがその場で選択したのは、格子をなおすのではなく、エムズの建具の特徴を生かしたプロフェッショナルな直し方でした。
エムズの木製建具は一般的な建具と少し違っており、Ms本(最高の「木造」住宅をつくる方法)にも載っている安田建具店が考案した「安田式」のつくり方でつくっています。

通常は「しぶしち(4分7)」などと言われるように建具の溝の幅を21mm(7分)、溝と溝の間を12mm(4分)などにして、建具自体を溝の幅に入るよう切り欠いたり、最近は金属性のレールを鴨居に取り付けて用いたりするものが一般的ですが、「安田式」は「やとい(雇い)」という別パーツの堅木を、組み合わせる画期的な仕組みです。
鴨居の溝に入っている薄い木が見えます。これが「やとい」と呼ばれ、建具とは違う堅木(6mm厚)が使われています。
これにより9mm幅のすっきりとした溝にできます。
今回の建具修繕ではこの「やとい」の特徴をうまく利用して修繕してくださいました。
2枚の建具が擦っているということは、建具同士の隙間を大きくする必要があります。
そこで平尾さんはこの「やとい」の位置を付け替えることで隙間を大きくしてくださいました。
こちらが直してもらったあとの写真ですが、「やとい」の位置を見てみてください。
建具の芯よりずれていることが分かります。
こうすることで真ん中の隙間を広くして、建具同士が擦るのを防いでいます。
建具が擦らなくなるのは良いですが、隙間が大きくなりすぎると閉めたときに隙間風が入ってくるということで、具合が悪いです。
そこで、駒と「やとい」に角度をつけることによって2枚の建具を閉めたときに最小の隙間になるように調整してくださいました。
すごい技術ですね!
この直し方に住まい手さんも感動されていました。
木は生きているので、年月が経てば多少の支障はつきものだと思います。
大切なのは、そうなった時に「いかに直しやすいか」をあらかじめ設計に組み込んでおくこと。
今回、平尾さんが施してくださった見事な修繕方法とその仕上がりを見て、将来のメンテナンスを考えた設計の重要性について考えさせられました。
堀田健斗



